マヌルネコ 東山動植物園 愛知名古屋

マヌルネコ(Otocolobus manul)は、ネコ科に属する小型の野生猫で、別名モウコヤマネコ。IUCNレッドリストでLeast Concern(低懸念種)に分類されるが、生息数は減少傾向にある。学名はPallas, 1776年に命名され、英名Pallas’s catは発見者のPeter Simon Pallasに由来する。以前はイエネコの祖先種とされたが、分子系統解析ではベンガルヤマネコ属と約590万年前に分岐した初期系統と判明。亜種は3つに分かれる説があるが、分子根拠は薄い。主要亜種O. m. manulは中央アジアからシベリア南部に分布。

分布はアフガニスタン、イラン、インド北部、カザフスタン、キルギス、中国、ネパール、パキスタン、ブータン、モンゴル、ロシア南部などで、標高450〜5,073mの岩場草原、ステップ、半砂漠に生息。1960年代以前のウズベキスタンやタジキスタンでも報告あり。アゼルバイジャンやアルメニアでは絶滅の可能性が高い。形態は頭胴長50〜65cm、尾長21〜31cm、体重オス3.3〜5.3kg、メス2.5〜5kg。厚い長毛(冬毛は灰色みが強く模様不明瞭)が特徴で、橙灰色の体に腰の茶色横縞、尾の黒縞5〜6本。耳は低く離れ、目は前方に位置し、黄色い虹彩と丸い瞳孔を持つ。歯は28本、爪は短く、足も短めで臀部が大きい。厚毛は寒冷地適応で、雪上での体温保持に役立つ。

生態は昼夜活動するが、主に薄明薄暮に狩りを行い、危険時は腹這いで隠れる。主食はナキウサギ類(89%)、小型齧歯類(44%)、鳥類などで、忍び寄りや待ち伏せで捕食。妊娠期間66〜75日、4〜5月に出産し、2〜4頭(最大8頭)の幼獣を産む。野生寿命平均5年(最大10年)、飼育下15年超の記録あり。威嚇時は上唇を震わせ犬歯を露出させる独特の行動を取る。

人間との関係は、モンゴル語の「小さい野生ネコ」に由来する名で、毛皮利用や薬用信仰から密猟が問題。生息地破壊、過放牧、混獲、獲物の駆除、殺鼠剤が脅威。ワシントン条約附属書II掲載(1977年)で国際取引規制中だが、モンゴルでの密輸続く。日本では東山動植物園で1999年初繁殖成功、現在旭山動物園、上野動物園、神戸どうぶつ王国などで飼育・繁殖中。2024年に神戸で5頭誕生(一部死亡)。欧州・ロシアで繁殖連携が進むが、トキソプラズマ症などの感染症が課題。文化的に切手やアニメで人気。

(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8C%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%82%B3)

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